2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ細孔内における固体電解質の構造とイオン導電機構の解明
Project/Area Number |
20750168
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 博俊 Nagasaki University, 工学部, 准教授 (10359961)
|
Keywords | 固体電解質 / 全固体型電池 / 界面 / 空間電荷層 / 結晶歪み |
Research Abstract |
本研究では、ヨウ化銀を中心とするイオン伝導体を多孔構造を有する絶縁体(アルミナなど)の細孔内に充填することによりナノサイズ化されたイオン伝導体の構造の精密化を行い、構造とイオン導電性との相関解明を目的とする。イオン導電体におけるナノサイズ効果を明らかにし、新たなイオン導電機構を見出し、高イオン導電性材料開発の指針を得ることを目指す。本年度は以下の二つの研究を中心に行った。 (1) 絶縁体/電解質ナノ複合体の構造解析 アルミナメゾ多孔体中にヨウ化銀を充填して得られる銀イオン導電性複合体は、空間電荷層効果から予想される以上に高いイオン導電率を示し、また活性化エネルギーも変化するなど、空間電荷層効果以外の機構が示唆されている。30KでのX線吸収測定を行い、EXAFSによりAg-Iの結合距離に分布があり、局所構造の中〜長距離秩序が見られなかったことから、非晶質であることを明らかにした。従来の結果とあわせて、細孔内におけるヨウ化銀が非晶質化しており、a-AgIと同様に固定化されたIイオンのフレームワーク中を溶融状態にあるAgイオンが自由に動き回れる状態にあると結論付けた。 (2) AgI/Al203ナノ複合体の局所構造とイオン導電挙動 細孔内に閉じ込められたAgIの特異的なイオン導電挙動が、細孔という制限された空間にあることによる効果なのかを確かめるため、AgI微粒子とA1203微粒子を調製し、機械的に混合した複合体を作製した。その結果、機械的混合による複合体においても、イオン導電率は上昇することが確認された。局所構造の変化は確認されず、イオン導電挙動は空間電荷層効果によると考えられた。また結晶子径の減少及びバンドギャップの広がりも示唆され、界面がバルク全体に影響を及ぼしていることを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)