2008 Fiscal Year Annual Research Report
陽極酸化チタン板を用いた環境にやさしいオフセット印刷版の開発
Project/Area Number |
20750170
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西本 俊介 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 助教 (90435826)
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Keywords | 光触媒 / オフセット印刷版 / 陽極酸化 / 酸化チタン |
Research Abstract |
光触媒は、光照射により有害有機物を酸化分解・除去できることから、環境浄化材料として注目されている。また、酸化チタン光触媒は酸化分解機能に加えて、曇り防止やセルフクリーニング材料に応用可能な光誘起超親水特性を有していることが知られている。酸化チタン光触媒が有するこれらの二つの機能を活用すると、マイクロ反応器やオフセット印刷版等へ応用できる撥水・親水パターンを形成できることが知られている。すなわち、酸化チタン表面に撥水性自己組織化単分子膜(SAM)修飾を施すことで表面全域を撥水性にした後、フォトマスク等を用いて位置選択的に紫外光を照射することで、紫外光照射部のSAMの酸化分解および酸化チタン表面の超親水化が起こり、撥水・親水パターンが形成される。この手法は、フォトレジストを用いないドライプロセスであるため、環境低負荷型技術としても注目されている。 このような機水・親水パターンの撥水性および親水性のコントラストをさらに高めることで、撥水・親水パターンの高機能化が期待できる。一般に、水濡れ性は表面粗さによって強調されることが知られており、超撥水表面および超親水表面の形成においては、基板表面形態制御が重要なパラメーターの一つである。そのような形態制御方法として、これまでに、チタン板の陽極酸化処理によるチタン板表面での酸化チタンナノチューブの形成および酸化チタン粉末のアルカリ溶液を用いた水熱処理による酸化チタンナノチューブの形成がそれぞれ知られている。そこで、本研究では、酸化チタン表面のさらなる高機能化を目指して、これら二つの手法を組み合わせることで、基板表面形態制御を検討した。 検討の結果、以下の事柄が明らかになった。 ・ 陽極酸化処理によって得られた酸化チタンナノチューブ表面は、光照射による撥水性から超親水性への変換が可能であることが分かった。 ・ 陽極酸化処理、水熱処理を施すことにより、特異的な形態の基板表面を形成できることが分かった。
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