2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨誘導モチーフを導入した絹フィブロインキメラタンパクの開発と骨再生材料への応用
Project/Area Number |
20750174
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中澤 靖元 Tokyo University of Agriculture and Technology, 工学部, 助教 (20456255)
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Keywords | 絹フィブロイン / 骨再生 / 核磁気共鳴法 / キメラタンパク質 |
Research Abstract |
本研究課題では、絹フィブロインとBSPのキメラタンパク質材料を創製することで、新たな歯・骨再生材料に向けた材料の提案をすることを目的としている。今年度は、本研究課題の最終年度であるため、昨年度に加え詳細な構造解析情報を取得し、今後の材料設計への指針を固めることに専念した。具体的には昨年度合成した(AGSGAG)_4E_4および(AGSGAG)_4E_8の2種類のペプチドについて、種々の部位特異的安定同位体ラベルペプチドを合成した。また解析手法としては、^<13>C CP/MAS NMR法、二次元スピン拡散NMR法等の固体NMR法を用い、徹底的な局所構造解析を行った。(Glu)_8を有するペプチドにおいては、Ala残基はGlu領域に近い部位ほどβ-sheet構造の成分が少なく、C末端側になるほど、その成分比は増加しており、分子内で均一な構造を形成していないことが安定同位体ラベルペプチドの解析から明らかとなった。一方、(Glu)_4ペプチドにおいて分子内構造は均一であり、そのAla残基の内部回転角は(φ,Ψ)=(-60°,135°)と決定できた。この内部回転角は以前申請者の研究グループが報告した絹フィブロインSilk I型構造の内部回転角と近似している。以上より、E_4(AGSGAG)_4の結晶部は、Glu連鎖領域の影響を受けることなく強固な骨格構造を形成することが示唆された。以上より、本研究課題では、絹フィブロインにポリグルタミン酸を導入することでカルシウム結合能を有する新規材料の創製を行い、骨形成を促す硬組織用生体材料としての可能性を示した。当初計画にあった高分子量のタンパク質の生産については現在行っているため、今後の発表を検討している。分子設計をNMRにより得られた構造情報を基にした緻密な設計手法を取り入れたことで、優れた骨再生材料の提案を行うことができた。
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Research Products
(4 results)