2009 Fiscal Year Annual Research Report
動的超音波散乱による新しいマイクロ粒子のダイナミクス解析とその応用
Project/Area Number |
20750178
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
則末 智久 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (40324719)
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Keywords | 超音波 / ダイナミクス / 散乱 / 微粒子 |
Research Abstract |
動的超音波散乱法(DSS)という超音波を線源とした新しい非接触ダイナミクス解析法の開発を行った。この手法の魅力は、粒径解析や分子ダイナミクス評価法としてなじみ深いレーザー動的光散乱(DLS)に類似した手法でありながら、(1) 光が透過しないミクロン懸濁粒子に対する非接触ダイナミクス計測が行え、学術的には(2) 散乱場の"直接"解析が行えるという際立った長所を有している点である。本研究では特に、10-20MHzの高い周波数でミクロな構造体を対象としたDSS解析と検証を行った。研究成果の一例として、直径3-32μmのポリスチレン微粒子を界面活性剤を用いて純水に分散させ、懸濁溶液中の沈降速度とその揺らぎを定量化した。沈降と同方向にセンサーを配置して取得した沈降速度の平均値から微粒子の大きさが得られることはこれまでの研究で確認済みであるが、平均成分が観測されない沈降に垂直な方向からの測定から速度の不均一性を単独で記録し、粒子径との対応関係を明らかとした。さらに散乱音場が実測できる長所に着目して散乱音場から位相を抽出し、運動速度の大きさのみならず、方向情報を得ることもできた。位相法においては、従来の相関関数法とは異なり、長時間平均することなく散乱体の運動速度が定量化できるため、時間と共に変化する沈降相の動的物性の時間変化も得ることが可能である。従来法では平均値と分散が得られたが、本手法では速度分布関数も得ることができ、分布の対称性や尖度などの高次情報の取得も可能となった。
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