2009 Fiscal Year Annual Research Report
環動ホストゲルを用いたゲスト分子の選択的輸送および能動輸送の研究
Project/Area Number |
20750179
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥村 泰志 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (50448073)
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Keywords | シクロデキストリン / ポリロタキサン / 環動ホストゲル / 環動ゲル / 超分子 / ビオロゲンポリマー / 会合定数 / 環動ホストゲストゲル |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ホスト分子の代わりにゲスト分子を修飾したポリロタキサン、「環動ゲストポリロタキサン」と環動ホストポリロタキサンを混合することによって、包接によってゲル化する、「環動ホストーゲストゲル」という新たな超分子ゲルを調製した。このゲルはホストとゲスト分子が高分子鎖に固定されていないため、従来の、側鎖に直接ホスト分子、ゲスト分子を修飾した高分子より低濃度での安定したゲル化が可能となった。さらに側鎖として光異性化能を有するゲスト分子を用いることにより、UV光の照射で迅速なゲルーゾル転換を示すゲルの調製にも成功した。これはUV照射後の解離する条件においてスライドによってホスト・ゲストが速やかに距離を確保できることと、低濃度でのゲル化により、光異性化能を有するゲスト分子が低濃度のためUV光がゲル内部まで透過することができるようになったためであると考えられる。 環動ホストゲル中では、ゲスト分子を包接した環動ホストもスライドするため、包接されたゲストは移動して他の環動ホストに受け渡される「バトンリレー」によって環動ホストゲル中を運搬されると考えられる。この時、複数の種類のゲストを共存させるとゲスト間の競合的な包接によって分子の輸送が実現できると考えた。そこでキャピラリーの中央で環動ホストゲルをゲル化させ、その両側に輸送対象である低濃度の蛍光色素を修飾したゲスト水溶液を左右同じ濃度で注入した。更に、ゲルの右側にのみ高濃度の非蛍光の競争ゲストを加えて、蛍光ゲストの運動を観察した。その結果、時間の経過によって競争ゲストが右から左に拡散されると共に、左側の蛍光ゲストが右側に輸送される交換的な能動輸送が観察された。これはPEG鎖上をスライドする環動ホストを介した初めての能動輸送であると考えられる。
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