2009 Fiscal Year Annual Research Report
中空ナノ粒子の磁気渦励起を利用した新しいスピン光機能素子の開発
Project/Area Number |
20760001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島 弘幸 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助教 (40312392)
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Keywords | ナノ構造体 / 幾何形状効果 / ナノ磁性体 / 磁気相転移 |
Research Abstract |
本課題の目的は、中空曲面状ナノ構造体の電磁特性を活用した量子デバイス設計に必要な基礎理論の構築である。前年度までの研究において研究代表者は、曲面型ナノ磁性体の磁化秩序と磁気感受率に対する系の幾何曲率効果をモンテカルロ・シミュレーションにより数値的に解析した。その結果、曲面状ナノ磁性体の表面には、その幾何曲率分布に起因するフラストレーション効果が働くことを明らかにした。この成果を踏まえ本年度の研究では、曲率効果が顕著に現れると予想される負曲率領域に焦点を絞り、上記のフラストレーションが引き起こす特異なスピン渦凍結状態の発現機構とそのダイナミクスを理論的に解明した。その結果、負曲率領域を取り囲む境界線上では、領域内部とは本質的に異なる非常に遅い磁気緩和が現れることを明らかにした。この理論結果は、中空曲面状ナノ磁性体に特有なスピン秩序とスピン渦励起の存在を示唆するものである。これらと並行して当年度の研究では、中空ナノ構造体の代表例であるピーナッツ型フラーレン重合体と捩れ量子細線について、その曲面幾何形状と系の電磁応答との相関を理論的に解析した。その結果、前者の系では凹凸表面を伝う量子(電子・フォノン等)の集団励起状態と伝導特性が、その表面曲率分布に応じて有意に変化することがわかった。また後者の系では、原子の捩れ配列構造が有効的な磁気相互作用を引き起こし、非自明な量子位相付加効果を与えることを明らかにした。さらに後者の範疇に入る捩れ光導波路を電磁波が伝う場合、屈折率分布の捩れ度合いの増加とともに長波長モードが減衰するという捩率誘起エバネッセントモードの存在を初めて明らかにした。以上の研究遂行により、中空曲面状ナノ構造体の磁気特性を電磁的・力学的に操作するための理論基盤を構築するという本申請課題の目的を達成することができた。
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Research Products
(25 results)
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[Presentation] Electronic and optical properties of one-dimensional C60 polymer with positive and negative Gaussian curvatures : a new quantum system2009
Author(s)
J.Onoe, T.Ito, H.Shima, Y.Toda, H.Yoshioka, S.Kimura
Organizer
20th European Conference on Diamond, Diamond-Like Materials, Carbon Nanotubes, and Nitrides
Place of Presentation
Athens Ledra Marriott Hotel, Athens, Greece
Year and Date
20090906-20090910
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