2008 Fiscal Year Annual Research Report
極角アンカリング強度測定による液晶配向メカニズムの解析と高性能デバイスへの新展開
Project/Area Number |
20760004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石鍋 隆宏 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (30361132)
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Keywords | 液晶 / 極角アンカリング強度 / エリプソメータ / 多重干渉 / 偏光解析 / 配向面 / 液晶配向メカニズム / 液晶配向分布 |
Research Abstract |
液晶ディスプレイの設計において極角アンカリング強度は最も重要なパラメータの一つである。従来、極角アンカリング強度について様々な測定方法が提案されているが、方法が複雑であり、また測定精度について十分な議論が無く、液晶ディスプレイの設計への適用は困難であった。これらの問題に対して本研究では、ホモジニアス配向セルに電圧を印加し、バルクの配向分布の測定結果から極角アンカリング強度を算出する方法を考案した。この方法では極めて強い電圧を印加する必要が無く、簡便で高い精度を実現することができる。 本研究では電圧を印加したホモジニアス配向セルの配向分布を測定するためには(配向分布が均一でない液晶の配向分布を測定する方法として)、液晶の配向面に垂直な方向における振幅比と位相差の角度依存性を測定し、理論と測定値とのフィッティングを行えば良いことを明らかにした。更に、理論計算において液晶セル内における干渉を考慮した理論計算を行うことで、配向分布の測定精度を飛躍的に向上できることを発見した。ここで電圧印加した液晶セルの配向分布を測定する為には、配向膜の容量を考慮が重要であるが、本研究における手法を用いることで電圧印加時における液晶の配向分布と配向膜容量が同時に測定できることを明らかにした。 本測定法の測定精度の確認するためOCBセルを作製し、その光学特性について評価を行った。この結果、理論値と測定値が良く一致しており、本研究による極角アンカリング強度の測定法により、液晶ディスプレイの光学特性の定量測定技術が初めて確立されたことを示した。 本測定法は一つのホモジニアス配向セルを用いることで、極角アンカリング強度および配向膜容量を簡単に、かつ高精度で測定することが可能であり、このことは高性能液晶ディスプレイの設計において、また表面における液晶配向メカニズムの解析において極めて重要な成果である。
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