2009 Fiscal Year Annual Research Report
極角アンカリング強度測定による液晶配向メカニズムの解析と高性能デバイスへの新展開
Project/Area Number |
20760004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石鍋 隆宏 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (30361132)
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Keywords | ディスプレイ / 液晶 / 極角アンカリング強度 / 温度依存性 / 吸着現象 / 表面配向メカニズム |
Research Abstract |
本研究はエリプソメータを用いて電圧を印加した状態の液晶セルを通過する光の偏光状態の変化の過程を解析し、液晶配向分布の精密な測定を行うことにより極角アンカリング強度を評価する手法を確立し、それを用いて液晶配向メカニズムを明確化することを目的として、液晶セルを通過する光の偏光状態の解析法の確立、液晶セル内で生じる多重干渉を考慮した極角アンカリング強度測定法の確立について検討を行った。本年度は、前年度の成果を基に極角アンカリング強度の温度依存性の測定を行った。まず本研究において考案した三入射多重干渉法、CVフィッティング法と温度制御装置を組み合わせた液晶物性定数の温度依存性測定装置を構築し、この結果を用いて極角アンカリング強度の温度依存性の評価を行った。配向力が異なる三種類の配硬膜について測定を行った結果、配向力が最も強いポリイミド配硬膜では、極角アンカリング強度は温度の変化に対して一定であるのに対し、中程度の配向力を有するPVA配硬膜ではある温度まで極角アンカリング強度が一定で、それ以上の温度では温度上昇に伴い減少することを確認した。更に、配向力が極めて小さいガラス基板表面では、温度上昇に伴い単調に減少することを確認した。また、液晶セルの基板表面に吸着した液晶の状態と極角アンカリング強度との関係について解析を行った結果、配向力が強いポリイミド配向膜では配向膜表面に液晶が吸着し温度変化によらずその状態を維持することから極角アンカリング強度の温度依存性が一定となること、配向力が中程度のPVA膜では、温度上昇に伴い吸着した分子の脱離が生じこの結果、特定の温度から極角アンカリング強度が減少すること、ガラス基板のみの場合、表面への分子吸着は生じず、極角アンカリング強度が温度上昇と共に減少することを明らかにし、表面への液晶分子の吸着現象と配向力との間に密接な関係があることを初めて明確化した。
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Research Products
(4 results)