2009 Fiscal Year Annual Research Report
高磁気異方性を有するハーフメタル薄膜の創製と室温高スピン分極率の実現
Project/Area Number |
20760005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桜庭 裕弥 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (10451618)
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Keywords | スピントロニクス / ハーフメタル / 垂直磁気異方性 / 強磁性トンネル接合 / TMR効果 |
Research Abstract |
FePt垂直磁化膜上に極薄(<5nm)のCo_2MnSi電極を成膜し、その構造,磁気特性及び表面平坦性を評価した。面内のX線回折法によって極薄のCo_2MnSiの構造解析を行った結果、Co_2MnSiが1nmと非常に薄い領域においてもB2構造以上の高い規則状態を維持していることを確認した。また高輝度放射光施設SPring-8において、X線磁気円二色性を測定することによってCo,Mnの元素選択ヒステリシスを観測し、Co_2MnSiの磁化過程を直接的に評価した。その結果,Co_2MnSiの膜厚が4nm以下の場合においてCo_2MnSiが垂直方向に磁化容易軸を取り、更にMCDのsum rule解析による磁気モーメントの大きさはCoPt上に成膜した場合に比べ1桁近く大きくなった。さらに、原子間力顕微鏡による表面像観察の結果、これらの膜の平均表面ラフネスは0.3nm前後と極めて小さいことを確認し、トンネル接合の下部電極として十分な平坦性を有していることが分かった。これらを下部電極とし上下ともに強磁性トンネル接合を作製した結果、室温で15%程度のTMR比を得た。また、トンネルコンダクタンスのバイアス電圧依存性を評価した結果、極低バイアス電圧付近で生じるコンダクタンスの急峻な立ち上がりが抑制される傾向が見られた。これは垂直磁気異方性が加わったことによって、Co_2MnSiとトンネル障壁層界面で生じるマグノンの分散に変化生じたためではないかと考えられる。
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Research Products
(9 results)