2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子情報通信・計算のための固体中における多量子ビット単一常磁性発光中心の研究
Project/Area Number |
20760006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水落 憲和 University of Tsukuba, 大学院・図書館情報メディア研究科, 講師 (00323311)
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Keywords | 量子情報 / ダイヤモンド / 単一スピン / NV中心 / 量子もつれ / 核スピン / 13C / コヒーレンス |
Research Abstract |
本研究ではダイヤモンド中の単一NV中心を量子通信・計算素子の観点から注目し、研究した。単一NV中心の単一電子スピンとそれと相互作用する単一核スピンは量子ビットとして利用でき、量子通信・量子計算において重要な役割を担えることが期待できる。本研究では固体では最多数の量子ビットをもつ単一常磁性発光中心の探索を目指した。 これまで、3つの最近接炭素原子のうち、一つが核スピンを持つ^<13>Cの単一NV中心は観測されていたが、我々は^<13>Cの量を増やした高品質ダイヤモンドを用いることにより、3つの最近接炭素原子のうち、2つ、3つが^<13>Cである単一NV中心を初めて観測した。昨年度は2つが^<13>Cである単一NV中心において固体では最多量子ビット数となる3量子ビットでの量子もつれの生成に成功し、報告した。本年度は、3つが^<13>Cである単一NV中心を光検出磁気共鳴スペクトルを詳細に解析して同定した。またその核スピンのラビ振動も観測し、単一核スピン操作を実証した。3つが^<13>Cである単一NV中心では電子スピンも合わせ4量子ビットの実現といえる。また第3近接位置にある遠くの^<13>C核スピンの同定と単一核スピン操作実証にも成功した。これらが室温で行われたことも特筆すべき点である。最近接位置の3つの核スピン、電子スピンと組み合わせれば、原理的には5量子ビットがこれらの^<13>Cを用いることにより実現可能であることを示した。 実用化が期待される固体では量子ビットのコヒーレンスを長く保つことが難しく、緩和機構の解明と長時間化が重要である。我々は同位体^<13>C濃度の異なった高品質ダイヤモンド試料を用い、コヒーレンスを保つ時間(T_2^*とT_2)が共に^<13>C濃度に依存して変化することを初めて示し、超微細相互作用による詳細な機構を明らかにした。これは更なるコヒーレンス時間の長時間化に向けて指針を与える非常に重要な結果であった。
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Research Products
(19 results)