2009 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン低次元系を用いた横型スピン伝導デバイスの開発
Project/Area Number |
20760009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜屋 宏平 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (90401281)
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Keywords | シリコン / 量子ドット / スピン注入 |
Research Abstract |
本研究は,シリコンを基礎とした低次元電子系(二次元電子ガスや量子ドット)を伝導チャネルとする横型電子デバイスにおいて,スピン注入,スピン操作,スピン検出といったスピントランジスタ動作の基礎となる要素技術開発を目的としている.シリコン低次元系へのスピン注入を目指すために,先ずはシリコンバルクチャネルへのスピン注入を検討した.その結果,強磁性シリサイドからシリコンへのスピン注入を電気的に検出する事に成功した.さらに、低次元電子系へのスピン注入効果の基礎的な検証を行うために,自己形成InAs系量子ドット構造を利用することとした.作製した強磁性電極/InAs量子ナノ接合において,50mKという低温ではあったが,量子ドット内のスピン状態と強磁性電極からのスピン注入との競合現象が明瞭に観測された.これは,強磁性電極から注入される電子がスピン偏極しているため,ドット内の準位を占有する際に『スピンブロッケイド』現象が生じたためであると考えられる.このような低次元電子系における興味深い物性をシリコン量子ドット系で得ることができれば,スピン緩和の影響を最小化できるため,より高温で動作する量子スピン伝導素子が実現するものと期待される.
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