2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規光誘起磁性酸化物の創成とスピントロニクス素子応用
Project/Area Number |
20760014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (40448014)
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Keywords | スピントロニクス / 酸化物エレクトロニクス / 磁性 |
Research Abstract |
本研究では、光によって電子の持つ性質である「電荷」と「スピン」の両自由度が制御出来る新規スピントロニクス材料を創製することにより、材料物性学の学術的興味とともに、将来の新たなエレクトロニクスデバイス・メモリの基礎を構築することが目的である。今年度は、室温光誘起磁性体の有望な材料である酸化物磁性体スピネル型フェライトに注目し、遷移金属イオン、非磁性金属イオンのドーピング量、種類を変え、室温において高効率な磁性変調現象を起こす新薄膜材料を作製した。第一原理計算手法を取り入れたマテリアルデザインによって(Al,Ru,Fe)_3O_4の電子状態計算を行うと、75%以上のスピン分極率を有していることが分かった。また、ホール効果測定の実験においては、異常ホール効果が見られ、伝導電子と局在スピンが密接に相関していることが明らかになり、スピントロニクス材料として有望であることが分かった。また、将来の光発光素子と組み合わせた新たなスピントロニクスデバイスの創製を見据えて、発光素子の基板であるGaAs(001)上に(Al,Ru,Fe)_3O_4薄膜を作製できるかどうかを確かめた。その際、スピネル型構造を持つ光誘起磁性体をエピタキシャル成長させるためにバッファー層を用いた。バッファー層には、一軸結晶配向成長がし易く、スピネル構造がその上に単結晶成長する構造でなければならない。また、発光素子基板からの光を吸収しない材料であることが必要である。このようなことから、バッファー層として、配向性が強く、エネルギーギャップが7.8eVもあるMgO材料を用いて行った。XRD測定の結果、バッファー層MgO/GaAs(001)基板上に単結晶(Al,Ru,Fe)_3O_4薄膜が成長することが分かった。これらの結果は、光によって、電気伝導特性、磁気特性を制御できる新たなデバイス作製の礎となる意義のある成果である。
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Research Products
(1 results)