2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規光誘起磁性酸化物の創成とスピントロニクス素子応用
Project/Area Number |
20760014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神吉 輝夫 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (40448014)
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Keywords | スピントロニクス / 酸化物エレクトロニクス / 磁性 |
Research Abstract |
【研究目的】室温光誘起磁性体の有望な材料である酸化物磁性体スピネル型フェライトに注目し、遷移金属イオン、非磁性金属イオンのドーピング量、種類を変え、室温において高効率な磁性変調現象を起こす新薄膜材料を創製する。また、スピントロニクス材料としての最適化を電子相関の効果Uを取り入れた第一原理計算のもと行う。具体的には、Fe304をベースに、ドープする遷移金属元素にRu、非磁性元素にAl、Znを候補として計算を行う。最終目的として、光誘起磁性スピネル酸化物を薄膜化し、光により磁性を制御できるデバイスの構築や光誘起型磁気トンネル素子の作製を行う。 【研究成果】本年度前半期では、前年度までに見出してきた室温で効率よく光誘起磁性を発現するスピネル型フェライト(Al, Ru, Fe)304をGaAs(001)基板上に作製した。その際、閃亜鉛鉱構造をしたGaAs基板上にスピネル型構造を持つ光誘起磁性体を高品位にエピタキシャル成長させるためにバッファー層を用いた。 バッファー層には、一軸結晶配向成長がしやすく、スピネル構造がその上に単結晶成長する構造でなければならない。また、発光素子基板からの光を吸収しない材料であることが必要である。このようなことから、配向性が強く、エネルギーギャップが7.8eVもあるMgO材料をバッファー層として用い、バッファー層としての有用性を評価した。その上に、(Al, Ru, Fe)304を作製し、磁気・電気伝導特性を評価した。また、Ru, Alのドープ量を系統的に変化させた(Al, Ru, Fe)304薄膜の電気伝導測定、異常ホール効果測定を行い、物性物理学的知見に基づいてこの材料の系統的理解を深めた。本年度後半期には、GaAs(001)基板上に作製した(Al, Ru, Fe)304薄膜の光誘起磁性についての磁化測定を行うとともに、この材料を用いた磁気抵抗素子の構築を試みた。
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Research Products
(3 results)