2008 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線ブロードバンド多層膜光学素子の非等周期構造設計および精密作製法の開発
Project/Area Number |
20760017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津留 俊英 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (30306526)
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Keywords | 超薄膜 / 多層膜 / 軟X線 / 広帯域 / 光学素子 |
Research Abstract |
本研究は、波長3nmから20nm程度の軟X線波長範囲で高反射帯をブロードバンド化した各種光学素子を実用化するために、数値最適化手法を用いたブロードバンド多層膜構造の設計法と多層膜鏡の作製法の確立およびブロードバンド多層膜光学素子の開発を目的とする。軟X線多層膜の層毎に異なるナノメーター膜厚を精密に制御し非等周期構造を形成できる成膜装置を構築し、実用的なブロードバンド多層膜光学素子を開発する。 本年度は、波長13nm付近のブロードバンド多層膜鏡(反射波長帯域△λ=2〜5nm、反射率25〜35%)の設計法と作製技術を確立すべく、1. 膜厚構造探索ソフトウエアの作製と、2. 多層膜成膜装置の改良を行った。1では、反射波長域と反射率を最適化パラメータとし、3つの数値最適化アルゴリズムから1つを選択し膜厚構造を探索できるソフトウエアを作製し、膜厚構造探索を行った。2では、非等周期構造を形成するために、現有イオンビームスパッタリング多層膜作製装置のターゲット物質切り替え方式をシーケンサー方式からリアルタイムOSによるコンピューター制御方式に変更し、10ミリ秒の時間精度を保証したハードウエアを実現した。多層膜鏡の反射は、強め合いの干渉特性として波長と入射角依存性を持つ。光を結像させるには光線の入射角が一枚の鏡内で変化するから、曲面基板面内で所定の多層膜周期長分布に制御し反射波長を一致させることが不可欠であり、基板前面に配置したシャッターの開閉速度を制御して所定の分布を形成する方法を採用している。ブロードバンド多層膜光学素子は非等周期構造を持つことから、シャッター駆動の速度関数を層毎に設定できるハードウエア構成とした。
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