2009 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線ブロードバンド多層膜光学素子の非等周期構造設計および精密作製法の開発
Project/Area Number |
20760017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津留 俊英 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (30306526)
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Keywords | 超薄膜 / 多層膜 / 軟X線 / 広帯域 / 光学素子 |
Research Abstract |
本研究は、波長3nmから20nm程度の軟X線波長範囲で高反射帯をブロードバンド化した各種光学素子を実用化するために、数値最適化手法を用いたブロードバンド多層膜構造の設計法と多層膜鏡の作製法の確立およびブロードバンド多層膜光学素子の開発を目的とする。軟X線多層膜の層毎に異なるナノメーター膜厚を精密に制御し非等周期構造を形成できる成膜装置を構築し、実用的なブロードバンド多層膜光学素子を開発する。 本年度は、昨年度に作製したブロードバンド多層膜鏡の膜厚構造探索ソフトウエアの計算アルゴリズムを最適化し計算時間の短縮化を図った。また、非等周期構造を形成するために改良したイオンビームスパッタリング多層膜成膜装置の1)ターゲット物質切り替え回転部、2)膜厚分布制御用シャッター駆動部、3)基板自転部、の制御用ソフトウエアを開発した。100ミリ秒精度の成膜を実現するために、10ミリ秒の時間精度を持つリアルタイムOSでこれらを制御できる。各種成膜パラメーターの入力や編集はLAN接続したwindows PCで行い、成膜途中の編集や変更も可能なものとした。新規導入したハードウエアとソフトウエアを使用して40等周期Mo/Si多層膜を成膜した。小角X線回折法で評価した周期性は、これまで使用していたシーケンサー方式で作製した多層膜と同等であることを確認した。異なる2つの最適化アルゴリズムで決定した非等周期構造でMo/Si多層膜成膜を行い、設定した等周期多層膜鏡の2倍の反射帯域を有するブロードバンド多層膜鏡を実現した。また、これらの改良によって基板面内で膜厚が一方向に傾斜する分光用多層膜鏡の作製自由度と膜厚制御精度を大幅に向上させることができた。
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Research Products
(3 results)