2008 Fiscal Year Annual Research Report
新型合わせ鏡式サブ100nm解像の軟X線実用顕微対物鏡の開発
Project/Area Number |
20760018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 光紀 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (40375168)
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Keywords | 軟X線 / 顕微鏡 / 反射結像系 / 多層膜 / 非球面 / 収差論 |
Research Abstract |
研究代表者は、波長2-20nmの軟X線領域で使用する2面反射結像系において従来のシュワルツシルト光学系で必要である100nmのアライメント精度を最大で約20倍緩和できる、合わせ鏡式対物鏡の設計解を独自に見出した。本研究では、新型非球面光学系の高い実用性を明らかにするため、波長13nmの軟X線領域用の合わせ鏡式対物鏡を試作し、結像特性を検証することを目的とする。目的の達成のため今年度は、現有の非球面基板へのMo/Si多層膜の製膜および、合わせ鏡構成用ミラーホルダの作製を行った。 非球面ミラーの光線入射角は光軸近傍と比べ外周部で大きくなる。ミラー全面でブラッグ条件を満たすには、Mo/Si多層膜を外周部が厚い所定の周期長分布で成膜する必要がある。このため、多層膜の成膜には現有の膜厚分布制御用移動シャッター付きイオンビームスパッタ装置を用いた。必要となる周期長分布(面内制御精度±0.5%)を得るため、成膜、周期長分布評価および分布制御条件の手直しを行い、多層膜の製膜パラメータの最適化を行った。その結果、合わせ鏡対物鏡を構成する2つの凹面鏡(R=81.4, 50.0mm)において多層膜の周期長制御誤差を±0.1%以下とすることができた。 新型対物鏡用の実現には、μmオーダーの位置精度で非球面鏡の光軸調整が可能なミラーホルダが必要となる。このため、必要となる調整精度と高真空環境下での使用を両立した専用の精密ミラーホルダを開発した。ホルダは、副鏡の並進(送り1μm)およびチルト(送り1')の粗調整ステージおよび、主鏡チルトの精密駆動フレクチャーステージ(送り5")で構成した。また、金属鏡筒とガラス基板間に板バネによる緩衝部を挿入することで、従来と比べ、ミラー保持時の面変形を大幅に低減(変形量<1nm)することが可能となった。
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Research Products
(2 results)