2009 Fiscal Year Annual Research Report
新型合わせ鏡式サブ100nm解像の軟X線実用顕微対物鏡の開発
Project/Area Number |
20760018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 光紀 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (40375168)
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Keywords | 軟X線 / 顕微鏡 / 反射光学系 / 多層膜 / 収差論 |
Research Abstract |
波長2-20nmの光を用いる軟X線顕微鏡では、空間分解能数10nmで生きたままの生体試料の元素分布像観察が期待される。我々は、顕微鏡の心臓部となる反射対物光学系に非球面を導入し、従来系と比べ偏心感度を1/20に低減できる、実用光学解を発見した。本研究では新規非球面光学系で期待される高い実用性を軟X線領域で実証するため、波長13nmの軟X線で動作し、サブ100nmの空間分解能を持つ"合わせ鏡"非球面対物鏡を試作し、その結像特性を検証することを目的とした。平成21年度は、これまでに作製した、非球面多層膜ミラーおよびミラーホルダを組み合わせ、新型軟X線対物鏡を試作し、その結像特性を検証した。具体的には、20年度に作製したMo/Si多層膜ミラー(波長13nm用)を新規開発したミラーマウントに接着し、その後にミラーホルダに組み込み、合わせ鏡式対物鏡を構成した。機械精度を用い副鏡位置の粗調整を行った後、ミラーホルダを現有のレーザーフィゾー干渉計(Zygo Mark2:計測精度<1nm RMS)に組み込み主鏡位置の調整を行った。得られた干渉縞を現有の解析ソフト(Diffraction International, Durango)で解析し、導出した対物鏡の透過波面収差から主鏡のチルト誤差を予測してミラーステージにフィードバックすることで波面収差を極小化する調整シーケンスを確立した。光軸調整後の対物鏡で生ずる波面収差は10nm RMS程度であった。また、波面収差をZernike多項式により直交展開し成分分解した結果、その主成分は非球面ミラーの形状誤差に起因する非点収差であることが分かった。
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Research Products
(5 results)