2009 Fiscal Year Annual Research Report
血液接触デバイスのための炭素系薄膜形成技術の開発とその評価に関する研究
Project/Area Number |
20760026
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
大越 康晴 Tokyo Denki University, 理工学部, 助手 (10408643)
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Keywords | 炭素系薄膜形成 / 繊維芽細胞・血管内皮細胞 / 血液ポンプ / 人工血管 / 表面改質 / プラズマ診断 / プラズマプロセス / 3次元構造物 |
Research Abstract |
平成21年度は、以下の3項目について検討した。 (1) 血液ポンプおよび人工血管内部のプラズマ状態とa-C:H膜形成の関係 血液ポンプおよび人工血管の内壁面を対象としたプラズマ処理に必要な3次元電極を用いて、より安定したa-C:Hを成膜する為に、プラズマ診断を行った。そして実際に、セグメント化ポリウレタン製血液ポンプ内部と、延伸性ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)製人工血管内壁面に対し、a-C:H膜を形成し、プラズマ状態と膜質の均一性との関連を明らかにした。また、a-C:H膜表面の細胞親和性の改善を目的として、窒素プラズマによるa-C:H膜の表面改質の最適化を実現した。 (2) 血液ポンプおよび人工血管内壁面へ形成したa-C:H膜の血漿タンパク吸着性評価 血液ポンプおよび人工血管の内壁面に形成したa-C:H膜表面について、アルブミン、フィブリノーゲン、グロブリンの吸着性を評価した。その結果、アルブミンの吸着量の増加と、フィブリノーゲン、グロブリンの吸着量の低減効果が確認された。 (3) In-vivo試験によるa-C:H膜の細胞親和性促進および血栓形成反応抑制効果について 上記(1)と(2)の検討を基礎として、細胞親和性とタンパク質吸着特性の両方を実現するa-C:H膜の表面設計に取り組んだ。その結果、in-vitro試験では、細胞親和性評価とタンパク質吸着性評価の結果より、"細胞親和性+抗血栓性"が見込まれるa-C:H膜の形成の指標が得られた。特に細胞親和性の評価では、a-C:H膜は、増殖過程における細胞の移動性に対し、良好な影響が見込まれた。本研究課題では、in-vivo試験による十分な評価が実施できなかったため、今後は、in-vivoを中心とした検討が必要である。
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Research Products
(5 results)