2009 Fiscal Year Annual Research Report
試料走査タイプ共焦点走査型透過電子顕微鏡の開発と評価
Project/Area Number |
20760027
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
橋本 綾子 National Institute for Materials Science, ナノ計測センター, 研究員 (30327689)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 共焦点顕微鏡 / 三次元可視化法 / ピエゾ駆動試料ホルダー / 深さ分解能 |
Research Abstract |
共焦点原理を透過型電子顕微鏡に応用した共焦点走査型透過電子顕微鏡(共焦点STEM)は、試料の深さ情報が得られる可能性を有することから、近年、注目が集まっている。本研究では、光学系を固定したまま、試料のみを走査することによって画像を得る試料走査タイプの共焦点STEMを開発し、実際に試料の三次元観察を行うことを目指した。 まず、ピエゾ駆動機構をもつ試料ホルダーを利用し、試料走査システムを開発した。また、焦点位置以外からの電子線を排除するピンホールを検出器直上に配置した。しかしながら、これだけでは、期待するような深さ分解は得られず、光軸方向に像は1μm近く伸びた。共焦点STEM像のシミュレーションでも、同様な結果が得られた。そこで、ダイレクトビームではなく、散乱した電子のみで像を形成させる方法を考案した。実際には、集束イオンビーム法で作製した円環暗視野(ADF)絞りを対物絞り位置に挿入した。このADF-共焦点STEM法により、深さ分解能を劇的に向上させることができ、ナノ粒子の像の伸びを約100nmに抑えることができた。また、試料走査システムを用いていることから、通常の水平画像だけでなく、任意の場所の垂直断面像も直接的に取得することができ、観察時に試料の三次元解析が行える。さらに、カーボンナノ構造体や担持体に分散した触媒粒子などを実際に観察し、得られたスライス像から三次元構造の構築にも成功した。
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