2008 Fiscal Year Annual Research Report
中赤外OH吸収帯波長高出力超短パルスファイバーレーザーの開発
Project/Area Number |
20760032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
時田 茂樹 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (20456825)
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Keywords | ファイバーレーザー / 超短パルスレーザー / 中赤外レーザー / 波長可変レーザー / フッ化物ガラスファイバ |
Research Abstract |
本研究の目的は、Erドープフッ化物ガラスファイバーレーザーによる2.8μm帯超短パルス光の発生と増幅に関する基礎技術を確立することである。今年度はその初期段階として、低分散フッ化物ガラスファイバーの開発と同ファイバーの発振特性、波長可変特性の測定、及びモード同期法の開発に取り組んだ。ファイバーのコア径およびコア/クラッドの屈折率比を最適化することにより、幅広い波長域において低い群遅延分散を示すフッ化物ガラスファイバーを制作した。群遅延分散に波長2.8μmにおいて4ps/km/nmと予想され十分に小さな値である。Erの高濃度ドープにより高効率な連続波発振を実現し、500mW程度の高い出力を得た。また、回折格子を用いた波長選択発振においては、これまでに報告されている波長可変域を長波長側へ拡大することに成功し、我々の知る限り最も広い波長可変域を得た。波長域の拡大により、ガスセンシング等における応用範囲の拡大が期待される。さらに、モード同期法の開発として、石英系ファイバーレーザーで実績のある非線形偏波回転法を中赤外波長へ応用することを試みた。非線形偏波回転法によるモード同期発振を実現するにはリング共振器が安定性の面で有利であるため、フッ化物ガラスファイバーによるリング共振器を開発し、世界で初めて単一方向発振に成功した。以上の成果により、Erドープフッ化物ガラスファイバーレーザーによる2.8μm帯超短パルス発生へ向けた技術的見通しが得られた。
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Research Products
(1 results)