2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760035
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
SMITH NICHOLAS Isaac Osaka University, 免疫学フロンティア研究センター, 特任講師 (10362592)
|
Keywords | ナノ粒子 / フォトファブリケーション / 培養細胞 / 毒性 / 生存能力 / 表面増強ラマン |
Research Abstract |
この研究提案の目的は、金溶液や銀溶液の光還元法の原理をもとに、培養細胞にフェムト秒レーザーパルスを照射し、金/銀ナノ粒子を形成するための研究を行うことであった。このプロジェクトは、技術的に極めて困難なものであり、一部については目標達成できなかった。研究初期に、塩分が、銀の結晶化をひき起こすため、光還元法で銀ナノ粒子を作るのは不可能であることがわかった。金粒子については、細胞内の限られた領域に作ることができた。ナノ粒子が形成された後、光が吸収され、ナノ粒子が融ける傾向が認められ、粒子サイズをコントロールするのは困難であることがわかった。暗視野イメージング法と色素ルミネッセンス法を使って調べたところ、金ナノ粒子の凝集物が、細胞の「ホール」の周りに形成されていた。このホールは、レーザーアブレーションによるもので、金の構造が形成され、そのことによってより多くの光が吸収されて(周囲の構造が)加熱され、その結果、細胞のアブレーションが生じたものと考えられる。さらに、細胞に対する金溶液の作用について調べ、次のような結果が得られた。ヨウ化プロピジウムテストを実施した結果では、培養細胞に金溶液が急性的な損傷を及ぼすことはないことが示されたが、金溶液によって、細胞によっては複雑な作用が生じることが示唆された。例えば、金溶液中では細胞分裂が観察されず、金溶液が細胞の生理状態に何らかの影響を及ぼすことを示している。 細胞の生理状態に対する金溶液の複雑な作用を調べること、および、金(ナノ粒子)形成プロセスを至適化することが今後必要である。銀(ナノ粒子)に関する研究は結論が出ており、ナノ粒子を作るのに適した候補物質ではないことが示された。
|