2008 Fiscal Year Annual Research Report
通信波長帯用ギガヘルツ繰り返し単一光子検出器の開発と量子鍵配布への応用
Project/Area Number |
20760038
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
行方 直人 Nihon University, 理工学部, 助手 (20453912)
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Keywords | なだれフォトダイオード / 正弦電圧ゲート動作 / 量子鍵配送 |
Research Abstract |
都市圏量子鍵配送の実現に向けて、高速、高効率かつ低暗計数を有する通信波長帯用(1550nm帯)単一光子検出器の開発を行った。 インジウム・ガリウム・砒素/インジウム・砒素(InGaAs/InP)のなだれフォトダイオード(APD)を-50℃まで冷却し、これを正弦電圧ゲート動作させた。そして、それの単一光子検出能力を本研究の目的であるギガヘルツ帯の繰り返し周波数において測定した。 最大ゲート繰り返し周波数1.5GHzを低アフターパルス雑音(3%以下)にて実現した。この最大繰り返し周波数は、APDを用いた単一光子検出器においては、現時点で世界最速である。 また、光子検出効率〜10%時における暗計数確率は10^<-7>オーダーと極めて低いレベルまで低減された。本光子検出器を量子鍵配送へ応用した場合、そのような低雑音特性は100km越える最大伝送距離を実できる 光子検出回路の徹底的な低雑音化を行つた結果、ゲート動作(大電力交流信号が印加された状態)であるにわらず、最終的な子光子検出信号ラインの雑音レベルは熱雑音限界に到達しているこの結果、現在、必要とされるAPDの内部利得はゲート繰り返し1.5GHzの測定を行った時点よりもさらに低減されている。よって、更なるアフターパルス雑音の抑圧が見込まれ、最終的に最大のゲート繰り返し周波数は2GHzを越える見込みである。 都市圏量子鍵配送を実現可能な高速単一光子検出器が簡便なAPDベースで実現した意義は大きい。また、本研究で開発した光子検出器は近赤外域の高感度光検出器の代替としても使用できるため、今後、多方面への応用が期待できる。
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Research Products
(5 results)