Research Abstract |
高効率の太陽光励起ファイバレーザの実現を目指して,Nd添加ガラスレーザ媒体の太陽光についての発光の量子効率の評価を行った.太陽光の量子効率の評価は,独自に測定系を構築し,再現性および信頼性の高いデータを得ることができた.昨年度は,Cr共添加ガラスについて量子効率の検討を行ったが,少なくとも調査した範囲においてCr共添加は有効でなかったため,今年度はNd単独添加ガラスに注力した.本年度は,ホストガラスとしてボロシリケートガラス,テルライトガラス,フッ化物ガラスを選択した.これらのガラスの量子効率を測定した結果,太陽光に対して量子効率の高いホストは,フォノンエネルギーが低く,ホスト自身の吸収が低いものが適していることが明らかになった.とくに,本年度選択したホストガラスのうちではフッ化物ガラスがこれらの条件を満たしており,太陽光に対して70%というきわめて高い効率で発光することを見出した.この値は市販のNd添加YAG結晶に匹敵するものであり,ガラスレーザ媒質が太陽高に対しても十分に高い量子効率を示すことを実証できた.また,テルライトガラスはNdの吸収があるものの原料の生成を行うことで無色なガラス試料が得られるので,ホスト自身の吸収を低減できれば量子効率が上がるものと期待できるため,これを来年度の課題の一つとすることとした.従って,本年度の選択したガラス系では,フッ化物ガラスおよびテルライトガラスが高効率の太陽光ファイバレーザ用のガラスレーザ媒体として期待できる.来年度は,これらのガラスについてファイバレーザとしての特性を調査する予定である.
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