2009 Fiscal Year Annual Research Report
音波エンジンにおけるエネルギー変換およびエントロピー生成の局所的観測
Project/Area Number |
20760044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
琵琶 哲志 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (50314034)
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Keywords | 流体 / 熱工学 / エネルギー変換 / 熱音響工学 / エントロピー生成 |
Research Abstract |
熱音響現象を理解するために提案された熱音響理論により,「熱機関」に対する新しい見方が提示された.流体要素の行う微小サイクルを通じて生じる「熱流」と「仕事流」の相互変換に基づくエネルギー変換現象の描象は,化ルノー以来続くこれまでの熱機関の理解の仕方をリニューアルする可能性がある.本研究は,この新しい理解の仕方の合理性を検証するために,実験的な立場から熱音響エネルギー変換を調べた.今年度はこれまでの実験に以下の改良点を加えて,圧力・流速・温度の同時計測を温度勾配のある気柱管内で行った. (1)画像粒子計測法による振動流速の面内分布の計測,(2)イナータンスチューブを使った圧力と流速の間の位相差の調節,また(3)断熱的に配管した管内での計測.以下に結果要旨をまとめる. ・管内の温度境界層近傍の熱流体振動の断面内分布を,新たに画像粒子計測法(PIV)を導入した.すでに確立したレーザードップラー流速計(LDV)による測定結果と比較することで,定量的に精度を確認した上で実験を行った.PIVを適用することでシーディング粒子が浮遊している短時間のうちに流速分布の計測が可能になった. ・圧力と流速の位相差は熱力学的サイクルを構成する熱力学的過程のタイミングを支配する因子である.位相差を調節すると,断面平均仕事流の増減が変化することに対応して,流体要素が実行する局所的エネルギー変換が正から負へと変化することを観測した.これは自励振動などに代表される熱音響現象を熱機関の観点から理解することが極めて合理的であることを実証する結果である. ・断熱的に配管したことで,管内流体から管壁への熱の逃げを抑制した状態で実験を行うことができた.流体が輸送するエンタルピー流の断面平均の軸方向の変化を調べたところ,時間平均温度の動径分布との間に熱伝導率を介した単純な関係式が成り立つことが見いだされた.
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Research Products
(1 results)