2010 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー重イオンが誘起するシングルイベント過渡電流の高位置分解能マッピング
Project/Area Number |
20760051
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小野田 忍 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (30414569)
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Keywords | マッピング / シングルイベント過渡電流 / トランジスタ |
Research Abstract |
単一のイオンが半導体に入射した時に発生するシングルイベント過渡電流(SETC)の位置及びエネルギー依存性の解明と、イオン入射位置とSETCの関係をマッピングする手法であるIPEM型TIBICの測定系構築を行った。IPEM型TIBICの開発では、AVFサイクロトロンからの150MeV-Arイオン1個がZnSを通過した際に誘起する微弱光を冷却CCDにて観測すると同時に、ZnSを通過したイオンがダイオードに入射した際に誘起する電荷の計測に成功した。発光と電荷が同時に検出された場合を選定することで、イオン誘起電荷マッピングを取得することができた。IPEM型は従来型と比較して、ZnSが不均一であることや膜が薄くできないことが原因となり、位置及びエネルギー分解能が低いことが分かった。高分解能化のためには、均一かつ薄膜の発光体を模索する必要がある。ZnSの替わりにYAG : Ceやダイヤモンドにおける発光を測定した結果、位置分解能が10倍程度高くなることが分かり、IPEM型の欠点を克服するためにこれら発光体が有用であることが分かった。一方、炭化ケイ素(SiC)金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)に誘起するSETCの位置及びエネルギー依存性を解明するため、飛程がほぼ同一の15MeV-酸素及び50MeV-銅イオンを用いた従来型TIBIC実験を行い、二次元のドリフト・拡散モデルを採用した数値解析を行った。その結果、ドレインにイオン1個が入射した時に最も大きなSETCが発生し、その強度はエネルギーに依存して大きくなることが分かった。SETCは、典型的なドリフトや拡散による電流に加え、寄生バイポーラトランジスタやゲート界面を流れる電流から成ることも分かった。以上のように従来型TIBICを用いた研究では、SiC MOSFET中をSETCが流れる過程を明らかにすることができた。
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Research Products
(7 results)