2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 宇泰 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 准教授 (90293670)
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Keywords | 保存・散逸スキーム / 微分方程式の数値解法 / 離散変分法 |
Research Abstract |
研究実績の概要は以下の通りである. 本研究は,国産の数値手法である「離散変分法」を有限要素法に拡張することを目的としていたが,その中で以下の知見を得た. まず前年度までの研究により,空間1次元の場合にH^1の枠組みで有限要素法版離散変分法が構成可能であること,およびいくつかの代表的な偏微分方程式(非局所作用素を含む方程式を含む)に対して適用し,実際に保存則を保つ数値計算が可能であることが示されていた. 本年度は,この枠組みが空間2,3次元の場合にも基本的に拡張可能であることを示し,特に2次元磁場無しのGinzburg-Landau方程式(超伝導現象を記述する方程式)の場合に,実際にスキームが動作することを確認した.ただしこの際,通常の方法で構成した非線形スキームが,空間2次元以上の大規模な計算状況下では計算量が非常に多く,実用性に難があることが分かった. そのため,当初の研究計画を若干変更し,計算量を大幅に削減するための原理的な工夫:「スキームの線形化手法」を併せて新たに開発した.これは,有限要素法版離散変分法では元来一段法スキームが構成されるところを,多段法スキームに緩めることで,スキームを線形化する手法である.この手法を用いた場合,元来狙っていた構造保存性は近似に緩められるが,一方で未知数(次段の数値解)に関して線形なスキームを構成可能である.このスキームの時間発展には線形方程式の解法さえあればよく計算量の削減が期待される.実際にこの手法により線形化したスキームを2次元磁場無しGinzburg-Landau方程式の場合に実装し,効率よく適切な数値計算が可能であることを示した.
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Research Products
(3 results)