2008 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電・強弾性体に対するマルチスケール解析手法の開発
Project/Area Number |
20760054
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
永井 学志 Gifu University, 工学部, 准教授 (90334359)
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Keywords | 有限要素法 / 強誘電体 / ドメインスイッチング / 電気機械的挙動 / ランダウの現象論モデル / 変分法 / 辺要素 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 多結晶性強誘電体の電気機械的な非線形挙動を, マルチスケール的な視点から数理モデリングしてシミュレーションする手法開発である. 本年度は, 以下の2点について研究を実施した. 1. 次年度で検討予定の構成則に適合しうるモデルである, ランダウ型の現象論ポテンシャルを構成則に用いて, マクロ構造である3次元多結晶性強誘電体に対する非線形有限要素計算が, 実用的な計算負荷で実行できることを確認した. 本計算法の背景となる数理モデルの特徴は, 熱力学における疑似ポテンシャルの存在の仮定であり, 準安定状態を表現できる極小型変分法に基づいている点である. これは, 線形問題である圧電問題に対する従来の電気機械的な有限要素解法(按点型変分法)とは異なる. 本手法ではベクトル電気ポテンシャルと辺要素を使用することから, その3次元非線形問題の求解においてヘッセ行列の零空間が数値計算上の問題となるが, 連立一次方程式の反復求解に三項漸化式に基づく最小残差(MRTR)法を用いることで, 安定した数値解析手法を構築できた. また, 超磁歪材料に代表される非線形な磁気機械問題にも応用可能であることが明らかとなったことも成果の一つである. 2. この三次元計算の結果は, マクロ的には先に計算を実施していた2次元非線形計算と同様な傾向であることを確認したが, 定量的には1割程度の低下があった, これは3次元効果と解釈できる. 次年度の研究は, 構成則としての疑似ポテンシャルのモデリング精度を上げることであり, 統計力学的手法あるは第一原理計算とモンテカルロ法等による計算結果を用いた係数フィッティング法の検討を予定している.
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Research Products
(7 results)