2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己き裂治癒能力の応用による構造用セラミックスの接触強度特性向上
Project/Area Number |
20760067
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 宏治 Yokohama National University, 工学研究院, 准教授 (90334630)
|
Keywords | セラミックス / 自己き裂治癒 / 接触強度 / 球圧子押込み試験 / アコースティックエミッション / 窒化ケイ素 / ショットピーニング |
Research Abstract |
セラミックスは、優れた耐摩耗性を有するため、ベアリングなどの摺動部材として用いられている。また、優れた高温強度を有しているため高温構造用部材としても期待されている。しかし、脆性材料であるため、破壊靭性値が低いという欠点を持つ。特に、接触領域においては応力が集中的に作用するため、き裂が発生すると急速破断に至る危険性を有している。そのため、局所的な接触応力下における信頼性向上に対する要望が高い。本研究では、セラミックスの接触強度特性に対する自己き裂治癒の効果を調査することを目的とする。昨年度は、アコースティックエミッション(AE)を併用した球圧子押込み試験方法を構築し、接触強度向上に対して自己き裂治癒が有効であることを見出した。本年度は、ショットピーニング(以下、SP)と自己き裂治癒を応用することにより、セラミックスの接触強度特性を向上することを目的として、窒化ケイ素/炭化ケイ素複合材を用いて、球圧子押込み試験を実施した。未処理材に試験片に比べて、SPと自己き裂治癒を施した試験片の接触強度の平均値は、大幅に向上した。この理由は、セラミックス表面に大きな圧縮残留応力が導入されたためである。また、SPのみを施した試験片に比べて、SPと自己き裂治癒を施した試験片の接触強度のばらつきは、大幅に小さくなった。この理由は、SP時に導入されたき裂が、その後の熱処理により治癒されたためである。以上の結果より,セラミックスの自己き裂治癒能力を活用することにより、セラミックスの接触強度を大幅に向上できることが明らかとなった。
|