2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁気計測を用いたき裂発生前からの予防保全的な非破壊疲労損傷検出法の開発
Project/Area Number |
20760070
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
塩澤 大輝 Kobe University, 工学研究科, 助教 (60379336)
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Keywords | 非破壊検査 / 疲労 / マルテンサイト相変態 / オーステナイト系ステンレス鋼 / 磁気特性変化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,耐食性,耐薬品性に優れていることから一般化学プラントや原子力発電施設などに広く用いられているオーステナイト系ステンレス鋼SUS304における磁気計測を用いた疲労損傷評価手法を開発することである.SUS304鋼は非磁性であるが,塑性変形や疲労損傷が生じた場合に磁性相であるマルテンサイト相が生成する.このような金属疲労の初期段階に生じる材料の磁気特性の変化を用いて構造部材中のき裂発生以前の損傷状況を把握できるものと考えられる.H20年度では,フェライトスコープを用いてマルテンサイト体積率を測定し,累積塑性ひずみとマルテンサイト体積率の変化には対応関係があることが確認された.本年度では,円孔を導入した試験片について疲労試験を行い,応力集中部からのき裂発生過程のマルテンサイト相および漏洩磁界の変化を詳細に観察した.さらに高精度にマルテンサイト相を検出する手法として,高感度磁気センサである超伝導干渉素子(SQUID)を用いた顕微鏡の開発を行った.またき裂発生・伝ぱ挙動の詳細な観察手法としてSPring-8の放射光を用いたμCTイメージングを用いたき裂観察手法の開発を試みた.き裂発生前および発生初期のマルテンサイト変態の観察では,フェライトスコープを用いてマルテンサイト体積率の変化を,MIセンサを用いて漏洩磁界分布の測定を行った.応力集中部における漏洩磁界およびマルテンサイト体積率と累積塑性ひずみとの対応関係が確認され,き裂発生過程の疲労寿命初期におけるマルテンサイト体積率の変化が明らかとなった.SQUID顕微鏡の開発では,電流経路の検出を行い,配線内欠陥の検出を試みたところ,欠陥の位置および寸法を評価できる磁場及び空間分解能を実現できることが分かった.また,ねじり疲労き裂の発生・伝ぱ挙動をμCTイメージングにより観察する手法を構築した.μCTイメージングにより材料内部のき裂伝ぱおよびき裂進展モードの変化を観察することが可能となった.
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Research Products
(12 results)