Research Abstract |
本年度は,昨年度と同種の試験片,すなわちオッセオインテグレーテッドインプラント試験片および即時荷重インプラント試験片を使用し,擬似咬合下でのひずみ分布の定量的評価を行った.そして次のような結果を得た.二つの試験片の各ひずみの最大値は,オッセオインテグレーテッドインプラント試験片で(ε_<xx>,ε_<zz>,γ_<xz>)=(-0.3%, -1.5%, 0.4%),即時荷重インプラント試験片で(-0.6%, -5.0%, 1.9%)であった.全てのひずみにおいて,即時荷重インプラント試験片が高い値を示した.さらにその分布を計測した結果,オッセオインテグレーテッドインプラント試験片のひずみ分布は骨全体に広がっているのに対し,即時荷重インプラント試験片のひずみ分布はフィクスチャー直近の狭い領域の骨にしか広がっていなかった.これは,オッセオインテグレーテッドインプラント試験片では咬合時の荷重を広域の骨で負担し,即時荷重インプラント試験片ではその荷重を局所的な骨のみで負担することを意味する.すなわちこの結果は,治療期間の短期化ということで近年注目を集めている即時荷重インプラント治療であるが,治療直後に過度の咬合荷重を付与した場合,一般的な治療法である骨とフィクスチャーが完全に接着されてから咬合を開始するオッセオインテグレーテッドインプラント治療に比べ,骨の力学的環境は厳しく,骨吸収が比較的生じやすい状況を招く恐れがあることを示唆している.
|