2008 Fiscal Year Annual Research Report
統計学を利用した電子後方散乱回折による疲労損傷の定量評価システムの構築
Project/Area Number |
20760073
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒田 雅利 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (00432998)
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Keywords | 疲労 / 原子力材料 / 電子後方散乱回折 / 統計学 |
Research Abstract |
電子後方散乱回折(electron backscatter diffraction、以後EBSD)を用いて塑性ひずみを検出する試みに関しては、これまで様々な評価パラメータが提案されている。しかしながら、どのパラメータが最適であるかについて詳細に検討した研究例はほとんど見当たらないようである。また、EBSDを利用した疲労損傷評価に関する研究は、まだ報告例が数少ないのが現状である。そこで本研究では、様々な統計的手法を導入することにより疲労損傷度を定量的に評価することが可能となる手法を考案し、その手法の妥当性について従来までに提案されている評価パラメータと比較の上検討することを最終目的とする。本研究は継続課題であるため、本年度得られた主な成果を以下にまとめる。 1. ステンレス鋼の高サイクル疲労強度は、試験片の表面近傍の状態、例えば表面粗さや残留応力に影響されるが、その程度は試験片加工時の切削条件に大きく依存する。そこで本年度はまず高サイクル疲労損傷を精度よく評価するために、統計的手法を利用して試験片の表面近傍の状態(表面粗さや残留応力等)が十分制御された試験片の作成を行った。 2. EBSDを利用した疲労損傷評価のためには、転位が堆積する結晶粒界近傍の測定データが重要な役割を果たすと考えられる。そこで本年度はEBSD測定に先立ち、結晶粒界に着目した新たな評価パラメータの開発および評価システムの構築を進めた。
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