Research Abstract |
イオン導電性高分子に電場をかけると,水和したカウンターイオンが陰極に移動し,陰極側が膨潤,陽極側が収縮することで湾曲が生じ,アクチュエータとしての機能を果たしている.しかしながら,MEMS(NEMS)などのマイクロ・ナノスケールにおけるアクチュエータやセンサとしての利用を考えた場合,マイクロ・ナノスケールにおけるアクチュエータの機能・特性を把握しておく必要がある.そこで,本申請課題では,イオン導電性高分子膜に透明導電性膜を成膜し,"透明なイオン導電性高分子アクチュエータ"を創製するとともに,イオン導電性高分子アクチュエータの機能特性に及ぼすイオン種類,温度などの影響について検討を行った. まず,安価で製造が可能なパラジウム(Pd)を用いて,無電解メッキ法によりイオン導電性高分子膜にパラジウム(Pd)を電極膜として成膜する方法を確立した.そして,カウンターイオンとしてLi^+,Na^+,NH_4^+を用い,また,その濃度を種々変化させ,それらが及ぼす変形特性への影響について実験的に明らかにした.そして,カウンターイオン半径が大きいほど,またイオン濃度が大きいほど変形が大きいことを明らかにした.さらに,電場下におけるIPMCアクチュエータの支配方程式とはりモデルを適用して,イオン種が及ぼす変形特性への影響を理論的に考察し,イオン半径が及ぼす変形特性への影響を理論的に裏付けることができた.次に,ITOをイオン導電性高分子膜にスパッタリングすることにより透明電極を成膜し,透明なイオン導電性高分子アクチュエータを試作した.そして,電圧印加により,屈曲運動することを確認した.
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