2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高温下における遮熱コーティングの全方向弾性係数の超音波計測と皮膜設計指針の導出
Project/Area Number |
20760078
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
脇 裕之 Osaka Electro-Communication University, 工学部, 准教授 (30324825)
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Keywords | 遮熱コーティング / 弾性係数 / 共鳴超音波スペクトロスコピー / 高温強度 / 長寿命化 / プラズマ溶射 / はく離 / 酸化 |
Research Abstract |
本研究は,遮熱コーティングおよび耐熱コーティングの高温全方向弾性係数を超音波計測可能なシステムを構築するとともに,それら皮膜の全方向弾性係数を明らかにすること,ならびに皮膜の設計指針の導出を目的とした.本年度の研究成果は以下の2つに期別できる. 1. 弾性係数の異方性に関して. これまで適切な測定手法が無かったため,遮熱コーティングおよび耐熱コーティングの弾性異方性についてはほとんど把握されていなかった.これら皮膜を面内等方性と仮定し,共鳴超音波スペクトロスコピーにより膜厚方向弾性係数と面内方向弾性係数を評価した. (1) 大気プラズマ溶射で作製した耐熱コーティングCoNiCrAIYについて,皮膜の作製条件(粉末粒径と熱処理)をパラメータとし異方性について評価した.溶射粉末粒径が小さい場合は,膜厚方向弾性係数が小さく,異方性が強いことが分かった.これは粒径が小さい場合に,積層粒子間の酸化が顕著なためであった.また熱処理によって全方向の弾性係数が高くなり,特に膜厚方向の向上が顕著であることが分かった.すなわち大きな粉末粒径で溶射し,熱処理を施した場合には,ほぼ等方弾性体となった.この様に溶射粉末粒径と熱処理で組織を制御し,弾性異方性をコントロールできることが分かった. (2) 遮熱コーティングジルコニアについても,膜厚方向弾性係数と面内方向弾性係数を評価した.耐熱コーティング同様に,膜厚方向弾性係数が小さく異方性が強いことが分かった. 2. 遮熱コーティングシステムの酸化・熱サイクルはく離に関して. 上記の皮膜をコーティングしたステンレス耐熱綱について,高温酸化試験を行い,残留応力の変化を評価した.温度履歴からFEM計算された遮熱ジルコニア皮膜の面内残留応力は大きく,これを低下させる皮膜(弾性係数)が望ましいことを確認した.
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