Research Abstract |
平成21年度では,熱可塑性樹脂であるポリアミド66にRBセラミックス粒子を充填した複合材料(PA66/RBセラミックス複合材料)を作製し,大気中無潤滑下における同複合材料の摩擦・摩耗に及ぼすRBセラミックス粒子の平均粒径,充填率の影響を明らかにした.平均粒径3μmのRBセラミックス粒子を10wt%,30wt%,50wt%充填し,平均粒径50μm,150μmのRBセラミックス粒子を,それぞれ30wt%,50wt%,70wt%充填した.摩擦・摩耗試験は直線往復摩擦試験装置を用い,相手材料として高炭素クロム軸受鋼SUJ2球を用いた.摩擦実験は,荷重0.49N,すべり速度0.001m/s,摩擦繰返し数1000回のもとで行われた.一方,摩耗実験は,荷重0.49N,すべり速度0.01m/s,摩擦繰返し数10000回のもとで行われた.その結果,RBセラミックス粒子の平均粒径の減少,充填率の増加に伴い,摩擦係数,PA66/RBセラミックス複合材料の比摩耗量は減少することが判った.また,平均粒径30μmのRBセラミックス粒子を70wt%充填することにより,最も低い摩擦係数(0.27)が得られた.さらに,平均粒径3μmのRBセラミックス粒子を50wt%充填することにより,PA66単体にくらべ98%の比摩耗量の低減が見られ,RBセラミックス単体とほぼ同等の1.3×10^<-9>mm^2/Nという極めて低い比摩耗量の値が得られることが判った.そして,RBセラミックス粒子充填による摩擦係数の低減効果ならびに耐摩耗性向上メカニズムとして,ビッカース硬さの増加による真実接触面積の減少と塑性流動の抑制が考えられる.
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