2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤用ステントデザインの血流阻害性に対する最適化設計とその最適化理論の構築
Project/Area Number |
20760108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 敏男 Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 助教 (80451631)
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Keywords | 流体工学 |
Research Abstract |
本研究は血流阻害性の高い脳動脈瘤治療用のステントストラットの最適設計とその最適理論の構築である.脳動脈瘤用のステントは発売されて以来,コイル塞栓術が難しいとされるワイドネックの動脈瘤のコイル保持を主な目的としてきた.しかしながら,近年ではステント留置を行うことにより瘤内で血栓形成,治癒膜生成を行う動脈瘤治療に注目が集まっている.そこで血流阻害性の高いステントが求められている.ステントメーカー各社はこれまでに強度・靱性・ステント操作性を強く考慮し開発を行い,そして近年では血流阻害性機能を目的として開発を進めている.しかしながら,開発段階で数値流体力学(CFD)解析を取り入れ,流体力学の観点から定量的な評価のもとで設計されたものでない. 本研究ではステント開発時に流体力学の観点を導入することで脳動脈瘤治療用ステントにおける血流阻害性の高いステントストラットの配置を開発する.この開発には,脳動脈瘤の理想形状にステントを留置した数値流体解析用形状を作成し,数値流体力学解析を行うことで動脈瘤内部における血流流れと血流による力の状態を定量的に評価することが必要である. 本年度は,ステントストラットの最適化に取り組んだ,昨年度の行ったCFD解析に加えて,統計学的手法により特徴的なステントストラットの配置を求め理想形状動脈瘤に留置しCFD解析を行った.このCFD解析の結果から最適なステントストラット配置を求めるために空間補間法の開発にも同時に取り組み,理想動脈瘤形状に対して最適なステントストラットの配置の探索方法の開発に成功した.これらの成果は,2010年1月に岡山県岡山市で開催された日本機械学会主催のバイオエンジニアリング講演会において,理想形状動脈瘤に対する最適なステントストラットの配置を決めることが可能であることを示した.また同年3月にフランスで開催されたElyT Lab Workshopにおいても,ステントストラットの最適な配置方法について発表を行った.
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