2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760110
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 晴之 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任助教 (40466850)
|
Keywords | 粘弾性流体 / Micro-PIV / 共焦点Micro-PIV / 偏光顕微鏡 / 偏光共焦点 / ミセル構造 / 可視化 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
機能性流体の一つである粘弾性流体がマイクロ環境下で示す特異な流動現象を解明するために,共焦点可視化法や共焦点Micro-PIV計測法を利用してマイクロ流路内に形成される粘弾性流体特有のミセル構造の可視化・計測を行った.粘弾性流体として界面活性剤水溶液と高分子水溶液を用いた.マイクロ流路内における粘弾性流動現象は圧力変化など上流側下流側の影響を強く受けるため,可視化計測実験用マイクロ流路としては,拡大縮小やS字などの単純形状を連続的に配置したデザインのPDMS製マイクロチャネルを用いた.この繰り返し構造流路を用いることにより,低流量・低流速条件下に限られるものの,下流域でのみ比較的定常状態に近い安定した流れ現象を作ることに成功した.また,ミセル構造の形成や複雑流動といった粘弾性流動現象は高分子水溶液よりも界面活性剤を用いた場合の方が顕著であり,Micro-PIVで流速計測を行う本研究における作動流体としては界面活性剤が適していることが確認できた.次に,ミセル構造の可視化計測についてであるが,ミセル構造は常に定常状態を維持しているわけではなく,さらに偏光特性も弱いために,構築した偏光共焦点光学系では観察が困難であった.しかし蛍光色素を用いた場合,繰り返し構造の効果によって下流にいくほど色素分子がミセル部分に濃縮され,蛍光観察でミセル構造を可視化できることが確認できた.そこで実際に蛍光共焦点観察法を適用して3次元的に可視化したところ,ミセルの立体構造を明らかにすることに成功した.さらに,そのミセル形成箇所でMicro-PIV計測実験を行うことで,ミセル構造内部の遅い流れやその周囲を回り込むように発生する3次元的な流れの様子を確認することができた.このミセルによる3次元的で複雑な流れはマイクロ流路における混合促進や伝熱促進に応用できると期待できる.
|
Research Products
(8 results)