2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760111
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 浩樹 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 講師 (50432240)
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Keywords | 高クヌッセン数 / 数値解析 / 境界条件 / 表面相互作用 / 非平衡現象 |
Research Abstract |
本研究では,高クヌッセン数流れの境界条件となる気体分子と固体表面の相互作用について,熱流動場に与える影響を明らかにすることを目的とした.高クヌッセン数流れは原子・分子の流れとして考える必要があるものの,熱流動場全体に対する境界条件の影響という観点では統計的な量が重要となってくる.そこで,相互作用の程度を表現する経験的パラメータである適応係数の取得及び解析を試みた. まず,エネルギー適応係数の取得実験を行った.自由分子流領域となる高クヌッセン数流れを利用し,金属細線のジュール加熱を用いて気体分子へのエネルギー移動量を求めるLow-Pressure法を採用し,遷移流領域まで拡張した解析手法を適用した.その結果,非常に簡便な実験系を用いても,白金表面においてアルゴン,窒素,酸素に対するエネルギー適応係数を広い表面温度範囲に対して取得することに成功した.次に,同様の実験手法を非金属材料に対しても適用可能にするため,セラミックヒータを用いて間接的に加熱する新しい手法の提案を行った. 次に,運動量適応係数に関して,高クヌッセン数流れとなるマイクロ円管内流れを利用した測定を実施した.流れが滑り流領域となるように平均クヌッセン数を用いて条件設定を行い,通過する質量流量をConstant Volume法によって測定した.得られた質量流量に対し二次まで考慮した速度滑り条件を適用した解析を行い,平均クヌッセン数との関係から接線方向運動量適応係数を導出した.固体表面として溶融シリカと白金,試料気体としてアルゴン,窒素,酸素を用いて測定を行い,溶融シリカに対する結果は既存の結果と一致することを確認した.白金に関してはほとんど報告されておらず,さらにエネルギー適応係数の取得も行っていることから気体分子と固体表面の相互作用の総合的な解明へとつながることが期待され,非常に貴重な情報の取得に成功したと言える.
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Research Products
(4 results)