2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760112
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 威 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (30345946)
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Keywords | 乱流 / 高分子 / 直接数値計算 / マルチスケール |
Research Abstract |
本研究課題は流体の直接数値計算(DNS)と,高分子鎖の分子動力学計算(MDS)を連結した数値シミュレーションプログラムを開発し,乱流中の高分子鎖の運動・物性の諸性質とその乱流場との相互作用,乱流の素過程への影響を,メソスケールのレベルから理解することを目的としている.初年度は乱流高分子系のDNS-MDS連結マルチスケール計算プログラムを開発する課題に取り組み,昨年度は実際に一様乱流中の高分子集団の挙動に関する統計性質の解明を試みた.系の振る舞いを特徴づけるパラメータであるワイセンベルグ数を変化させると,高分子鎖の集団はコイルーストレッチ転移を生じる事が確認された.この時,高分子鎖の特徴的な緩和時間が乱流場のラグランジュ的な時間相関と密接に関連していることが明らかになった.また高分子鎖の末端間距離の大きさと速度勾配テンソルの普遍量との関連性を解析し,高分子鎖の強い引き伸ばしと速度場のトポロジーの関係を議論した.さらに高分子鎖モデルを構成するセグメント数に対する様々な統計量の依存性を調べた.結果,モデルに含まれるパラメータのセグメント数依存性を適切に選ぶことで,末端間距離の統計性質はセグメント数にはあまり敏感に依存しないことが示された.これはより単純な高分子モデルでも流れ場への影響を調べる目的においては十分良いモデルになり得ることを示唆している.得られた主な成果は,日本物理学会2009秋季大会(熊本大学),九大応力研研究集会(九州大学)等の学会,研究会で発表した.また得られた成果の一部を論文としてまとめ、Physical Review E誌に投稿した(最近受理されて、掲載予定である).
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