2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760112
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 威 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (30345946)
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Keywords | 乱流 / 高分子 / 直接数値計算 / マルチスケール |
Research Abstract |
本研究は,流体の直接数値計算(DNS)と,高分子鎖の分子動力学計算(MDS)を連結した数値シミュレーションプログラムを開発し,乱流中の高分子鎖の運動・物性の諸性質とその乱流場との相互作用,乱流の素過程への影響を,メソスケールのレベルから理解することを目的とするものである。 当該年度は最終年度にあたり,これまでの研究成果を踏まえて多数の高分子鎖モデルが乱流中に分散した際の,高分子鎖集団の流れ場への影響の解析に取り組んだ。最初に高分子鎖集団から弾性ストレス場を計算し,乱流の直接数値計算に組み込むための計算コードの開発を行った。この数値計算を高精度で実現するためには、非常にコストの高い計算を要する。そこでこの大規模数値計算を実現するための高効率な並列計算コードを開発した。計算コードの検証と結果の妥当性を検証するために、高分子鎖集団が一様等方減衰乱流に及ぼす影響を解析した。その結果、高分子の影響によるエネルギー散逸率の低減現象や、渦構造生成の抑制現象など、過去に構成方程式を用いて行われた数値計算の結果と定性的に一致していることが確認できた。これらは本研究で扱った計算手法の有効性を強く示唆するものである。得られた成果はこれまでの研究成果とあわせて一部論文として出版され,また学会や研究会等で研究成果の発表を行った。 本研究で扱った計算手法は,構成方程式の直接数値計算では扱うことが困難な物理現象を解析するのに適しており,今後の大きな発展が期待できる。これまでの研究成果を基盤にして,更に研究を進めていきたいと考えている。
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