2009 Fiscal Year Annual Research Report
抵抗低減流体の壁面極近傍流動特性と乱流抵抗低減メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
20760117
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小方 聡 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (50315751)
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Keywords | 抵抗低減 / 非ニュートン流体 / エバネッセント光 / 流体工学 |
Research Abstract |
高分子や界面活性剤に代表される添加剤は,流体の流動における抵抗を大きく減少させる効果を持つ.この抵抗減少効果に関連する研究は,近年の省エネルギー問題に密接に関わることから,非常に重要な研究テーマの一つである.抵抗減少効果のメカニズムに関しては,高分子の分子鎖の絡み合いや界面活性剤ミセルの絡み合いが特に壁面近傍で乱れを抑制することが報告されている.しかしながら,この領域で抵抗低減流体の流動特性を明らかにした研究はほとんどなされておらず,現時点では不明な点が多い.本研究はこれらの抵抗低減流体の低減メカニズムを壁面極近傍の領域観察から明らかにすることを目的としている. 本年度得られた成果は以下のようにまとめられる. (1) エバネッセント光による壁面極近傍のニュートン流体の速度分布測定技術の確立を目指し,エバネッセント場に対し十分に粒径の小さい粒径20nmの蛍光粒子を用いて速度分布測定を行った.実験はRe=1.93×10^<-5>~9.63×10^<-5>の範囲で行った.蒸留水の速度分布は壁面極近傍(53nm<z<300nm)の領域において二次元ポアズイユの分布とよく一致することがわかった.粒子径が100nm以上の蛍光粒子を用いた従来の速度分布測定における測定限界が壁面から約100nmであるのと比較し,エバネッセント光による速度測定の分解能を大きく向上させることが出来た. (2) 希薄高分子(ポリエチレンオキサイド)水溶液の速度分布は,壁面極近傍(53nm<z<300nm)の領域で同一流量の蒸留水と比較して大きく増加することを明らかにした.その勾配は壁面近傍ほど大きくなり,壁面からの距離の増加とともに減少した.この傾向は分子量の増加とともに顕著になった.これらは本研究で初めて明らかにされたものであり,工学的に非常に意義がある結果である.
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Research Products
(2 results)