2009 Fiscal Year Annual Research Report
液体金属中キャビテーションに関する理論シミュレーション研究
Project/Area Number |
20760122
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井田 真人 Japan Atomic Energy Agency, J-PARCセンター, 研究員 (60391356)
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Keywords | 気泡 / キャビテーション / 液体金属 / 壊食 / エロージョン / 流体工学 / 気泡間相互作用 / キャビテーション初生 |
Research Abstract |
まず、複数気泡のダイナミクスを記述するモデル「coupled Keller-Miksis方程式」を基にしたキャビテーション初生に関する検討を継続した。それにより、全ての気泡核が急膨張(すなわちキャビテーションの発生)を起こすのに十分な負圧を作用させた場合にも、いったん膨張を始めた気泡核が途中で収縮に転ずる場合があることを発見した。この現象は圧力波を通じての気泡間相互作用からくるもので、気泡核が一つしかない場合には起こりえないものである。また、この現象には気泡核の「動的不安定平衡半径」が重要な役割を担っていることが分かった。これらの発見は、複数の気泡核が存在する現実的な場においては、キャビテーション初生時に起こる現象は非常に複雑なものになり得るということを示唆するものである。 さらに、全ての気泡が同一で、対称に配置され、液体の粘性が無視できると仮定した場合に、非線形連立方程式であるcoupled Keller-Miksis方程式が解析的に時間積分できることを見出した。得られた解析解は気泡間相互作用が気泡の膨張・収縮挙動に与える影響を明確に理解する鍵となるものである。また、多気泡系モデリングに現れるフリーパラメータ「相互作用強度係数」について議論し、外部圧力場の波長有限性を基に理論的に決定する手法を提案した。 J-PARC計画で大きな課題となっている水銀中キャビテーションの克服に関しては、特に水を用いた代替実験を念頭に、水中と水銀中での気泡挙動の差異・類似性について議論した。その結果、両液体中の気泡群の間に予想外の類似性があることを見出した。これは気泡の数密度が十分に大きい場合に、両液体中の気泡群が持つ固有振動数がほぼ同値になり、その結果、圧力波に対する気泡群の振舞い方が非常に似たものになるというもので、水を用いた代替実験の有用性を示すものである。
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Research Products
(7 results)