2008 Fiscal Year Annual Research Report
複雑なマイクロ流路を過ぎる多流体に対する数値計算手法の開発
Project/Area Number |
20760123
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
沖田 浩平 The Institute of Physical and Chemical Research, 機能情報シミュレーションチーム, 上級研究員 (20401135)
|
Keywords | マイクロ流れ / 混相流 / 数値流体力学 / Diffuse Interface Model / Immersed Boundary Method / 符号付き距離関数 |
Research Abstract |
複雑形状を有するマイクロ流路において,固体表面と自由界面の濡れ性を自由エネルギー的に考慮した二流体以上の多流体からなる流れに対する物理モデルの構築と数値計算法の開発を目的として,任意形状の固体表面における自由界面の濡れ性の表現手法の検討,及び,任意形状の流路の流れに対する高精度な流れの数値計算手法の開発と精度の検証を行った. 任意形状の固体表面における自由界面の濡れ性の表現において,多流体に対するDiffuse Interface Modelの1流体を固体とみなす方法について検討した.2流体の界面に流体と密度が等しい剛体球を置いたときの濡れ性の影響について調べた結果,濡れ性の変化によって剛体球が移動して平衡状態に至る過程を再現することができた.一方,Immersed Boundary Methodを基に符号付き距離関数を形状表現に用いた計算手法を開発した.本手法を3次元直角直交格子において格子線と物体境界が一致しない形状である円管の内部流れに適用し,低レイノルズ数の定常流および振動流に対する解析解との比較を行った.その結果,空間1次精度しか得られないバイナリや体積率による形状表現に比べて,本手法により空間2次精度が得られることを確認した.また,Y字管やT字管等の複雑形状を有する流路の流れにも適用し,妥当な結果が得られることを確認した. マイクロ流路の流れは低レイノルズ数の流れであり,壁面境界の近似精度の影響が内部にまで及ぶ.このため,高精度な形状表現は必要不可欠であり,符号付き距離関数を形状表現に開発された本計算手法の意義は大きい.また,空間精度の向上は,解析において目的とする精度の結果を得る際に大幅な計算コストの削減をもたらすため,複雑形状を有するマイクロ流路の3次元解析および設計において特に重要となる.
|