2009 Fiscal Year Annual Research Report
複雑なマイクロ流路を過ぎる多流体に対する数値計算手法の開発
Project/Area Number |
20760123
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
沖田 浩平 The Institute of Physical and Chemical Research, 機能情報シミュレーションチーム, 上級研究員 (20401135)
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Keywords | マイクロ流れ / 混相流 / 数値流体力学 / Diffuse Interface Model / Immersed Boundary Method / 符号付き距離関数 |
Research Abstract |
複雑形状を有するマイクロ流路において,固体表面と自由界面の濡れ性を自由エネルギー的に考慮した二流体以上の多流体からなる流れに対する物理モデルの構築と数値計算法の開発を目的として,多流体の流れに対する3次元計算とGPU利用による計算速度向上の検討を行った. 非混和な3流体の流れとして,2流体の界面に液滴が存在する場合の液滴の平衡形状に関して各流体間の表面張力をパラメータとした3次元計算により,3重会合点における3次元的な界面の接触状態が妥当に再現されていることを確認した.一方,液体中の非混和な2つの液滴の運動に関して,液滴の合体,回転,分離といった運動を3次元計算によって再現した.また,マイクロカプセルの生成を模擬した計算では,液体中で表面張力の弱い液滴が表面張力の強い液滴を包むように合体する様子が再現された. Diffuse Interface Modelでは,秩序変数が保存量の場合,空間4階微分項を含むCahn-Hilhard式と呼ばれる時間発展方程式を解く必要があり,高い空間精度だけでなく,時間積分においても非常に小さな時間刻みが求められる.この計算コストが高い時間発展方程式の計算に対して,GPUを利用することによってCPU利用時に比べて大幅な速度向上が可能であることを確認した. マイクロ流路の流れでは表面張力の影響が大きいため,多流体中の表面張力を適切に表現することは重要である.本研究で開発された多流体に対する擬似自由エネルギーによって,3重会合点の3次元的な界面の接触状態が適切に表現された多流体の3次元運動が数値解析された意義は大きい.
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Research Products
(1 results)