2008 Fiscal Year Annual Research Report
高機能化SAM膜界面における熱物質輸送に関する分子論的研究
Project/Area Number |
20760126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊川 豪太 Tohoku University, 流体科学研究所, 助教 (90435644)
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Keywords | 熱工学 / 自己組織化 / 計算物理 / 分子熱流体 / 界面輸送現象 / SAM / 熱輸送特性 / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究では自己組織化単分子膜(SAM)と溶媒との界面における熱物質輸送特性を明らかにすることを目的としている. 今年度では, 固体基板, SAM, 溶媒を含む分子動力学(MD)シミュレーション計算モデルの構築を行い, 実験的に得られている構造情報をもとに, その妥当性を検証した. また, 界面を介して熱流束を発生させる非平衡分子動力学(NEMD)シミュレーションを行った. まず, MD法によって得られた平衡状態におけるSAMの構造に関しては, 基本的な分子構造の情報が実験的に得られているものとよく一致することを確認した. したがって, 相互作用ポテンシャルの選択も含め構築された分子モデルは妥当であると判断した。さらに, NEMD計算においては, 高温と低温の熱浴を設けることで界面を介した温度勾配を課し, 定熱流束を発生させた. これによって, 界面垂直方向に発生した温度分布を解析する. 通常, 固液界面においては, 界面熱抵抗に由来する温度ジャンプが発生することが知られているが, SAMと溶媒の界面においては, 明確な温度ジャンプが発生しなかった. 対照として行った固体基板(Au)と溶媒の界面では, 大きな温度ジャンプが発生することがわかった. これらのことから, SAMは固体基板に吸着することで熱抵抗を低減する効果があることがわかった. これは,工業的にもミクロレベルにおける熱交換素子等のより高効率な熱輸送を実現する技術につながる可能性を示している. したがって, 熱抵抗低減に関するミクロスコピックなメカニズムを明らかにすることが課題となる.
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Research Products
(6 results)