2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル注入と水素添加を利用した噴霧燃料着火促進法の実用条件下での適用
Project/Area Number |
20760131
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 寛泰 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80362284)
|
Keywords | 噴霧燃焼 / 着火 / 水素添加 / 既燃ガスジェット / 液体燃料 |
Research Abstract |
本研究は,酸化剤側への水素添加や着火源として既燃ガスジェットイグナイタを用いることによって,液体燃料噴霧混在混合気の着火促進および燃焼性の向上効果が得られるかを調べたものである.当該年度では,前年度において構築した実験システムを用いてより広範な条件で水素添加が液体燃料の燃焼に及ぼす効果を検討した.本年度は,エタノール(噴霧,蒸気)での検討を継続して行うとともに,ジェット燃料(JETA-1)を用いた着火・燃焼実験も行った.代替燃料として有用なエタノールに関しては,実用上の問題として低温環境下での着火信頼性があることから,約-30℃の低温環境において水素添加の効果を調べた.その結果,低温環境においても水素を少量添加することで着火可能範囲は拡大し,燃焼圧力波形のばらつきの減少や最大燃焼圧力の増加など,室温環境と同様の着火・燃焼促進効果が得られることが分かった.ただし,常温常圧環境のエタノールおよびジェット燃料を用いた実験では水素の希薄可燃限界濃度である4vo1%程度の水素添加で助燃的効果が得られたのに対し,低温環境下ではおよそ6vo1%と水素添加量を増やす必要があった.次に,定容燃焼実験において効果が認められた既燃ガスジェットイグナイタによる着火法を,連続燃焼を行う燃焼器の着火・保炎法として利用し得るかを検討するため,イグナイタキャビティ内で生成した水素-空気混合気の燃焼ガスを,オリフィスを介して角ダクト内のエタノール噴霧混在混合気流に噴射させる実験を行った.その結果,高温の既燃ガスジェットと混合気流が乱流混合し,イグナイタ付近に広範な火炎領域が形成される場合のあることが分かった.流量やオリフィス径によって火炎形成の状態が大きく異なるため,ジェットの最適な噴射条件を設定する必要があるが,連続流に対しても既燃ガスジェットイグナイタによる着火法が有効な手法となり得る可能性を示した.
|