2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラスター蒸着による機能性炭素薄膜のテーラーメイド創成に向けた解析
Project/Area Number |
20760135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 康隆 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (30346192)
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Keywords | 分子動力学法 / 衝突 / 薄膜生成 / モデリング / 計算加速 |
Research Abstract |
クラスター蒸着によるボトムアップ式薄膜生成法の開発を目的として,ナノスケールの衝突に際するエネルギーの伝達経路と連続的蒸着,衝突の影響を明確化にするため,高精度の分子動力学シミュレーションにより,単量体から20量体までのCO_2クラスターの14keV程度まで加速エネルギーでの単一衝突過程の解析を行った.このシミュレーションの妥当性と精度とについては,並行して行われたグラファイト表面上へのCO_2クラスター照射実験結果との比較により前年度に確認した.本年度は本課題での焦点である低密度アモルファス炭素薄膜に加え,ダイヤモンド,グラファイト,C_<60>薄膜など,様々な密度の炭素系薄膜について単一クラスターの衝突シミュレーションを総括的に行い,この結果からターゲット密度とクラスターサイズ,照射エネルギーに依存した表面付近へのエネルギーの集中率と散逸率,およびその表面付近での熱への変換効率を見積もることができることを見出した.これにより表面付近の温度上昇の推算が可能となり,それに伴う熱脱離によりスパッタリングが起きるとの仮定に基づく熱力学的考察により,クラスター衝突からスパッタリングに至る過程をモデリングすることに成功した.これは,CO_2クラスター照射によって炭素系薄膜表面付近の状態をテーラーメイド的に自由に操作できる可能性を示すものであるだけでなく,熱力学的な考察によりモデルを一般化しているため,異なるクラスター,ターゲット表面についても容易に拡張することが可能であり,クラスター照射による能動的な機能性表面の創成にも活用できるものである.
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Research Products
(5 results)