2008 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下の燃料分散系における混合液体燃料の燃焼開始過程の解明
Project/Area Number |
20760137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森上 修 Kyushu University, 工学研究院, 准教授 (70363124)
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Keywords | 噴霧燃焼 / 熱機関 / 新燃料 / 高圧力 |
Research Abstract |
本研究は「高圧」と「混合液体燃料」の二つのキーワードを持つが, まずは混合液体燃料の燃焼開始過程を調査するため, 現有の実験装置を使用して, 大気下において正デカン/エタノール混合燃料液滴が高温空気に曝された際の自発点火を観測した. 空気の温度800K程度まで調査したところ, エタノールの割合の増加とともに点火遅れは単調に増加した. 自発点火により燃料を燃焼させる燃焼器では, 空気の温度は1000K程度までであるが, その条件では正デカンが主体である自発点火はエタノールによって阻害されると思われる. すなわち, 性能・排気の清浄性の面で燃焼器の要求する点火遅れに適した燃料組成を調整することが可能であることを示唆する. また, 二成分の沸点の違いから発生する液滴の内部沸騰が観測され, 本混合燃料では微粒化が促進されることが確認された. 次に, 高温電気炉, 燃料液滴生成・移動装置を内包する高圧容器を製作し, まずは正デカン純正分燃料液滴の高圧下での蒸発・自発点火実験を行った.大気圧下では, 空気の温度800K程度以下においては, 燃焼開始後も燃料は完全燃焼せずに部分的な酸化で留まる(すなわち, 冷炎のみが発生)が, 高圧下では燃焼開始後まずは第一段階の酸化(冷炎の発生)を経て, 完全燃焼(熱炎の発生)することが確認された.さらに, 高圧下における二成分燃料液滴の蒸発を模擬する数値計算モデルを開発し, 正デカン/エタノール混合燃料液滴について計算を行った. 蒸発初期においては揮発性の高いエタノールが主体的に蒸発することが確認され, エタノールの割合が大きいほど点火遅れが長くなる傾向が根拠づけられた. また, 液滴内部の濃度分布と温度分布に着目することにより, 実験で観測された内部沸騰が再現され, その発生条件が確認された.
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Research Products
(4 results)