2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱輸送デバイスによる固体高分子形燃料電池の高性能化
Project/Area Number |
20760138
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小糸 康志 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70347003)
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Keywords | 燃料電池 / ヒートパイプ / 熱サイフォン / 伝熱促進 / 熱拡散板 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 研究代表者が開発した平板状薄型ヒートパイプと蒸気圧駆動型ヒートパイプを発展させ, 外部動力を要しない熱処理によって, 固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell, PEFC)の高性能化を図ることである. 具体的には, 前者のヒートパイプによってPEFC内部の温度分布を低減させ, 後者のヒートパイプによってPEFCの温度制御を行い, その平均温度を発電に最適な高温に保つ. 本年度は, まず, PEFC内部の温度分布に関する実験ならびに数値解析を行った. 実験では, 燃料(水素)と酸化剤(空気)を規定の流量・湿度でPEFCに供給し, 温度分布と発電量を測定する基本的な実験装置を構築した。数値解析では, 電気化学反応と流動・伝熱現象を連成させた2次元解析コードを構築した. 実験および数値解析から, 平板状薄型ヒートパイプと蒸気圧駆動型ヒートパイプをPEFCに適用するに当たり, これらに要求される熱輸送性能に関する基礎データを取得した. 次に, 以上の検討を踏まえ, 平板状薄型ヒートパイプに関する実験を実施した. 本年度は, 第一段階として, 毛細管構造体であるウイックを内部に設置しない平板状薄型熱サイフォンを設計, 製作し, 熱輸送特性に関する実験を実施した. 実験では, 下面中心部を加熱, 上面全面を冷却して温度分布を測定した. 特に本研究では, 加熱部と冷却部の温度分布のみならず, 内部の蒸気温度と圧力も測定し, 加熱部と冷却部の熱抵抗をそれぞれ算出した. 実験結果から, 平板状薄型熱サイフォンの熱拡散効果すなわち温度分布低減効果を確認した. また, 加熱部の熱抵抗が冷却部の熱抵抗よりも非常に大きいことがわかった. 今後, 熱輸送性能向上の観点から, 加熱部熱抵抗の低減を図る必要がある.
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