Research Abstract |
研究代表者の従来の蒸気圧駆動型ヒートパイプを発展させ,温度制御を目的とした熱輸送ループを構築した.本ループは,受熱部と放熱部,貯槽,バルブ,逆止弁および配管系から構成されており,受熱部で熱を受けると作動液が蒸発し,蒸気流として放熱部へと熱が輸送されるものである.蒸気は放熱部で凝縮し,凝縮液は蒸気圧により貯槽を経由して受熱部へと還流され,熱輸送が継続する機構となっている. 熱輸送ループの製作後,まず,ヒートソースとして電熱ヒーターを,ヒートシンクとして恒温槽を用い,熱輸送ループ内の温度および圧力の経時変化を測定して,作動確認実験を実施した.作動液には水を用い,温度および圧力の測定には熱電対および圧力変換器を使用した.実験結果から,温度および圧力の周期的な変化とともに本ループが連続的に作動すること,温度および圧力の経時変化は比較的緩やかで潜熱輸送の効果が現れていることを確認した.また,熱的性能も評価し,受熱量と放熱量の比として定義した熱輸送効率が91%以上であることを示した.次に,受熱部と放熱部の間に設けたバルブの開閉度をパラメータとして熱輸送ループを作動させ,温度および圧力の経時変化を測定して,温度制御特性を確認した.その結果,受熱部と放熱部の温度差ならびに熱抵抗は,これらの間に設けたバルブによって簡単に制御でき,本ループをヒートソースの温度制御に適用可能であることを示した. 以上の結果から,本ループを組み込むことにより,PEFCスタックの温度制御が可能であると考えられる.
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