2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760139
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
河南 治 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 助教 (20382260)
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Keywords | 沸騰・二相流 / ナノ材料 / 伝熱促進 |
Research Abstract |
近年、電子機器の高発熱密度化に対応すべく、沸騰二相流体ループを用いた排熱システムの適用について、研究・開発が行われている。特に、申請者が参画している研究開発例として、「沸騰二相流を利用したハイブリット自動車用インバータ冷却システム」や「宇宙太陽光発電衛星の熱制御技術」がある。すなわち、民生品から宇宙用まで、沸騰二相排熱システムに対する期待と需要が急速に高まってきている。沸騰二相排熱システムでは、効果的な潜熱輸送によって、従来の空冷や液単冷システムの除熱限界を超える200W/cm^2程度の排熱が可能となっている。更なる高性能化のためには、冷媒組成や伝熱面構造、給液構造などの工夫が必須であり、それらに対して、様々なアプローチが取られている。そこで、本研究では、伝熱面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers, SAMs)を構築することで伝熱面表面の濡れ性を制御しこ沸騰伝熱促進を実現することを目標に、研究を開始する。研究目標は、自己組織化単分子膜(SAMs)によって親水膜を伝熱面に構築し、プール沸騰熱伝達について、(1)SAMsによる伝熱面の表面濡れ性改質によって、沸騰伝熱促進効果がどれくらい得られるのか?(2)SAMsによる伝熱面の表面濡れ性を制御するによって、沸騰熱伝達と表面濡れ性の関連を得る。特に、濡れ角と限界熱流束の関連を明確にする、の2点である。 20年度の研究では、水熱合成法によって生成した酸化チタンナノチューブ(TNTs)は、種々のシランカップリング剤による表面修飾(下右図参照)によって様々な機能を発現させることが可能であり、濡れ性に関しては、0°-135°の広範囲で制御できることが分かった。また、これまでの酸化チタン表面改質法と異なり、本手法は紫外線による性能劣化を生じないことや、酸化チタンの光触媒活性を完全に抑制出来ることも確認している。その上で、この表面改質された酸化チタンナノチューブ(TNTs)を伝熱面上にコーティングし、プール沸騰実験を行った。その結果、(1)TTNTsをコーティングした伝熱面にて限界熱流束が1.6倍に増大する、(2)親水性の増大に伴う熱伝達の劣化はTNTsのホーラス構造で回避できる、の2点を実験により確認できた。
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